開催概要
下記の要領にて本学会主催によるセミナーを開催いたします。事前登録制となっておりますので、参加を希望される方は下記のリンクよりお申し込み下さい。会員でない方もご参加頂けます。
- 開催日時:2019年9月7日(土)13:00~18:00(12:30受付開始)
- 場所:東京大学本郷キャンパス 法文2号館 教員談話室
- 講師:
- 岩田礼(公立小松大学国際文化交流学部教授)
- 木津祐子(京都大学大学院文学研究科教授)
- 木村英樹(東京大学名誉教授)
- 参加費:日本中国語学会会員¥1,500/非会員¥3,000 (当日会場にてお支払いいただきます)
- お問い合わせ: seminar2019@chilin.jp
- 参加申込はこちら
なお、会場の都合上、先着100名様とさせていただきます(残り20席ほどになりました - 9月3日)。
講義内容
漢語方言における語彙変化の特徴 岩田 礼
中国語(漢語)の方言差が大きいことは一般にもよく知られている。これはこの言語が広大な地域に拡散しながら、各地で経時的に変化が生じた結果である。言語変化には音韻変化のような体系的なものと語彙変化のような個別的なものがあり、また言語内部で生じた内的変化と外部方言の影響によって生じた外的変化がある。いずれにせよ、漢語方言では他言語を圧倒する量の言語変化(音声、語彙、文法のすべてを含む)が生まれてきた。J.ジリエロンによって創始された言語地理学の方法は、語(word)がなぜ、どのように変化するかというメカニズムについて多くの知見をもたらしたが、言語変化の宝庫とも言える漢語方言では、変化の要因についてさらに多くの発見が得られるはずである。この講義では、ヨーロッパや日本の方言ではみられない語彙変化の類型を取り上げ、大方には “ありそうにもない”と思われるであろう解釈を提示することで、言語地理学的考え方の一端を紹介したい。
琉球久米村通事が学んだ官話 ―― 通事が用いた教材の写本間差異を手がかりに 木津祐子
琉球久米村通事は琉球王国の対中国朝貢貿易の核心を支えた職能集団である。彼らの母体は、明代の移住華人「閩人三十六姓」をルーツにもつと伝えられるが、通事職の重要性が増すに伴い、官話を習得した那覇や首里出身の士族の一部も久米村籍に編入された。久米村通事が官話学習の為に独自に編纂した官話教材からは、中国境内の文献では解明の困難な、明清期口頭言語の一斑をうかがい知ることができる。ただ、それら久米村で撰述された官話教材のすべては写本でのみ伝わるので、写本間の異同や注文の読解など、取り扱いに際しては細心の注意が必要である。本セミナーでは、琉球通事とその官話教材の概要及び各写本の扱い方を講じ、併せて、主として写本間差異から浮かび上がる教材撰述の背景や使用される官話の来源についても論ずることを目指す。
現代漢語文法の史的特質 ―― 現代語文法と歴史文法の接点を探る 木村英樹
先秦時代や漢代の漢語が現代においては古漢語と称されるように、当世の現代漢語も千年後あるいは二千年後には「古」漢語の領域に入る。現代漢語における文法研究の成果は、後世においては「古」漢語文法の研究資料となる。その意味において、現代語の文法研究もまた歴史文法研究の一齣に過ぎない。今回のセミナーでは、現代漢語におけるいくつかの文法現象を歴史的な脈略のなかで捉え直し、漢語の通時的な多様性と汎時的な特質の一端を明らかにし、併せて、歴史文法を視野に入れた現代漢語研究の意義および可能性を探る。