研究例会

更新日: 2026/10/17

2026年第5回研究例会 発表者募集のお知らせ

2026年度第5回研究例会を下記のとおり開催する予定です。現在、研究発表者を募集しています。発表の申込みは原則として本学会の会員に限ります。在住地域は問いません。広い地域からの応募をお待ちしております。発表を希望される方は「研究例会発表要旨ならびに発表資料作成要領【発表者用】」をご参照の上、題目と要旨(300字以内、ワードファイル)を電子メールで例会担当までお送りください。発表申し込みの締め切りは、2026年11月13日(金)です。審査後、採否について連絡致します。なお、発表応募者が多数の場合には、調整することがあります。

日時:2026年12月12日(土) 午後13:30〜(予定)
方式:オンライン(zoom)方式
問い合わせ:
 日本中国語学会九州支部
 kawasumi◆flc.kyushu-u.ac.jp(◆を@に換えてください)(世話人:川澄哲也(九州大学))

年度別研究例会一覧


2026年度

第4回: 2026年10月3日(土)13時00分〜
会場: オンライン開催(Zoomを使用)
大西道子(関西学院大学・院)
日中両言語における並列構造と関係節の使い分け――情報構造の観点から
中国語の文章語では、複数の節からなる並列構造“流水句”が多用される。節間は並列関係であるが、意味的には主従関係と解釈されることがあり、因果関係や対比・逆接、譲歩などの論理関係を伴い、並列構造でありながら複雑な論理構造を含意できる。論理標識なしで節間の論理関係の推論を生じうる複文には、“流水句”のほか非限定的関係節もあり、両者の用法は一部重なる。両形式は日中両言語に共通して存在するものの、相互間の翻訳は難しいとされる。本発表では、その理由の一端が、並列構造と関係節の使い分けの差異であると考え、情報構造の観点からその説明を試みる。
劉承君(関西大学・院)
現代中国語における助言発話行為の一考察―機能類型の全体傾向を中心に―
本発表は、現代中国語ドラマ三作品三十六話から抽出した助言発話行為778例を対象に、中国語における助言の機能類型とその全体傾向を考察する。先行研究では、助言のストラテジーや理由提示などが論じられてきたが、助言が談話内で担う中心的機能に基づく類型化にはなお検討の余地がある。本発表では、助言を勧奨型、忠告型、提案型、注意喚起型の四類型に分類し、それぞれの特徴と出現傾向を分析する。分析を通して、中国語の助言発話行為が行動促進だけでなく、不利益回避、対応策提示、判断の再考を含む多面的な発話行為であることを示す。
※事前登録は不要です。参加用のZoom情報は「日本中国語学会オンライン会員情報管理システム(clara)」を通して開催1週間前ごろにメールで配信します。
連絡先:
日本中国語学会東海支部 稲垣智恵(中京大学)
Email: e-mail: t-inagaki◆lets.chukyo-u.ac.jp(◆を@に代えて使⽤してください)
第3回: 2026年8月8日(土)13時00分~
会場: オンライン開催(Zoomを使用)
丁小娜(お茶の水女子大学大学院)
現代中国語における「“很”+VP」構文の成立条件―スカラー性の観点から―
現代中国語では、“很喜欢”“很讲信用”のように“很”と共起するVPがある一方、“*很讲中文”“*很开门”のように共起しないVPも存在する。従来、この現象は状態性や比較可能性(“通比性”)、形容詞化などの観点から説明されてきたが、VP全体を統一的に説明する枠組みは十分に示されていない。本発表では、程度意味論におけるスカラー性の概念を援用し、BCCコーパスから抽出したV、VO、「V“得”/“不”C」、「能願動詞+V」および「V+数量」句を分析する。その結果に基づき、“很”と共起可能なVPは性質的スカラー性、または数量スカラー性を有しており、「“很”+VP」構文の成立条件はVPが提供する尺度構造にあると主張する。
砂岡和子(早稲田大学)
「机間指導」は本当に学習支援か――初級中国語授業における教師の身体拡張性再検討
本稿は,日本・台湾・ベトナムにおける文法シラバス準拠型初級中国語一斉授業計8クラスを対象に,教師の机間指導の実態を観察・比較した。教師が学生の間を巡回しながら何を観察し,どのような学習支援を行っているのかを,教師の身体拡張性の観点から分析した。その結果,習慣的に歩くだけの机間巡回が多く見られる一方,教師の気づきとその解釈に基づき,個別最適な支援を行う机間指導も確認された。ICT・AIが教師の身体拡張機能を担いうる時代を迎え,人間教師の能力を発揮できる学習支援のあり方を検討する。
※事前登録は不要です。参加用のZoom情報は「日本中国語学会オンライン会員情報管理システム(clara)」を通して開催1週間前ごろにメールで配信します。
連絡先:
日本中国語学会北陸支部 福田翔(富山大学)
Email: e-mail: fukuda◆las.u-toyama.ac.jp(◆を@に代えて使⽤してください)
第2回: 2026年7月11日(土)13時00分~
会場: オンライン開催(Zoomを使用)
張盛開(静岡大学)
元数据Metadata在方言与口传文化研究中的重要性―以平江方言口传文化数据库为例―
方言研究和口传文化研究长期重视语音、影像和文本资料的采集与保存,但资料信息(Metadata)的整理仍较为薄弱,制约了资料共享、再利用及人工智能分析。本报告以自2003年持续开展的平江方言口传文化调查为例,介绍说话人信息、采录环境、体裁类型和语言信息等Metadata的构建实践,并探讨其与ELAN标注、语料库建设及Zenodo公开共享的结合方式。同时说明Metadata在语音识别(ASR)、说话人识别和方言分类等AI应用中的基础作用,进而讨论方言研究资源建设的发展方向。
余仁偉(関西大学)
从明代吴语区诗人的歌麻通韵来看麻韵的元音高化
明代吴语地区诗人的诗作中有一个相当独特的用韵现象,即歌韵与麻韵通韵。从诗韵上看,歌韵和麻韵都是应当独用的韵目,二者并无邻韵关系,所以哪怕是用韵相对宽松的古体诗中也是不允许通韵的。从韵摄上看,诗韵的歌韵收入果摄之戈韵字,麻韵收入假摄之麻韵字,果假二摄的主元音相差很大,更不应该放在一起进行押韵。然而在吴语区诗人的诗作中,除了可见歌韵麻韵通韵的例子之外,甚至出现了歌麻通韵鱼虞的情况,并且都并非孤例。那么认为这类通韵情况只是单纯的用韵错误就是不妥当的,这类通韵应是反映了吴语内部关于歌麻韵的语音变化。本文将通过《列朝诗集》所录吴语区诗人以歌麻通韵的诗作,来讨论这种通韵情况所反映的吴语韵母特征。
※事前登録は不要です。参加用のZoom情報は「日本中国語学会オンライン会員情報管理システム(clara)」を通して開催1週間前ごろにメールで配信します。
連絡先:
日本中国語学会東北支部 張佩茹(東北大学)
Email: e-mail: peiju.chang.b7◆tohoku.ac.jp(◆を@に代えて使⽤してください)
第1回: 2026年6月13日(土)13:00~
会場: オンライン開催(Zoomを使用)
鎮守 琳(関西大学)
『老乞大』の“兀那”“兀的”“阿的”の分析―話し手に基づく三層構造の観点から―
本発表は、『老乞大』旧本に見られる“兀那”“兀的”“阿的”の用例を対象に、その機能について検討したものである。従来、これらは“这”“那”に対応する近称・遠称として説明されることが多いが、実際の用例をみると、単純な距離対立のみでは捉えきれないことが見られる。本発表は、“兀那”は方角・位置、“兀的”は提示・授受・操作可能対象、“阿的”は経験との関わりが見られる点に注目し、それぞれの用法の違いについて整理を試みた。
※事前登録は不要です。参加用のZoom情報は「日本中国語学会オンライン会員情報管理システム(clara)」を通して開催1週間前ごろにメールで配信します。
連絡先:
日本中国語学会関西・四国支部 吉田泰謙(関西外国語大学)
Email: e-mail: hyoshida◆kansaigaidai.ac.jp(◆を@に代えて使⽤してください)

2025年度

第8回: 2026年3月7日(土)13:00~
会場: オンライン開催(Zoomを使用)
大嶋広美(広島大学)
T.H. Lee『Hakka Lessons』にみるマレーシア客家方言
これまでマレーシアにおいて刊行された客家方言に関する資料は数点存在するが、その中でも1950年代に出版されたT. H. Lee著『Hakka Lessons』は、他のテキストと異なり、内容の豊富さと言語学的解釈を伴う点において特に注目される。著者のLee氏は、本書で扱う客家方言は梅県方言に基づきつつも、実際にマレーシアで使用されている客家方言に即して記述したと述べている。本報告では、テキストに見られる発音・語彙などを現在のマレーシア客家方言の調査結果と照合し、梅県方言との差異にも着目しつつ、本書に見られる特徴を分析する。あわせて、このテキストの成書過程と今回の初期調査によって明らかとなったマレーシア客家方言の諸特徴についても報告する。
杨安娜(北海学园大学)
上古汉语“主之谓”句法特征问题小议
上古汉语“主之谓”结构的句法特征传统上存在两种对立的观点。(1)“名词性结构(“之”取消句子独立性)”说(1948/1982,王力1980,李佐丰1983,大西克也1994,孙洪伟2008等),(2)“谓词性结构”说(何乐士1989/2004,姚振武1995,宋文辉2010,梁银峰2016等)。近年来也有一批学者从形式句法学角度对此进行了深入探讨:如杨萌萌(2019)提出该结构为“非定式句”,田源/徐杰(2016)提出“之”为标句词的看法,景黎黎/洪波(2019)则从类型学角度出发,认为“主之谓”是小句名词化。但这些观点都无法有效解释“主之谓”结构可以“独立成句”的问题(如:子曰:“予之不仁也!”《论语·阳货》;君子曰:“众之不可以已也。”《左传·成公二年》)。本文将从引语理论研究视角―即:“之”为间接引语标记,“主之谓”为间接引语构式的观点来尝试对此进行统一解释。
※事前登録は不要です。参加用のZoom情報は「日本中国語学会オンライン会員情報管理システム(clara)」を通して開催1週間前ごろにメールで配信します。
連絡先:
章天明(北海道支部/小樽商科大学)
Email: e-mail: tianming-zhang69■res.otaru-uc.ac.jp(■を@に代えて使⽤してください)
第7回: 2026年2月14日(土)13時~
会場: オンライン開催(Zoomを使用)

テーマ:中国語教育のための応用中国語学をめざして
主旨説明:鈴木慶夏(神奈川大学)

森 篤嗣(武庫川女子大学)
【特別講演】文法・語彙項目の精選と最適化 ―言語学の「オマケ」からの脱却―
言語教育において「どうやって教えるか」と同じかそれ以上に、「何を教えるか」は重要である。「何」に当たる文法・語彙項目については、言語学で研究されるものだという意見もあろうが、言語教育学は「教えるときどう扱うべきか」に重きを置くべきである。2000年以降、私たちは「日本語教育文法」という枠組みで進めてきた。そこには三つのポイントがあった。一つ目はコーパスの登場、二つ目はノンネイティブ研究者との共同、そして三つ目が言語学の「オマケ」からの脱却である。「日本語学の研究は結果として教育にも役立つ」という楽観論は、日本語学と日本語教育の乖離を生んだ。「教えるための項目の精選と最適化」はそれに抗う術である。
西 香織(明治学院大学)
中国語教育文法は何を目指すのか ―言語学と教育学の「ハザマ」から―
中国語教育は従来、中国語学の体系を教育に応用する周辺的領域として扱われてきた。とりわけ近年は授業ツールへの関心が高まる一方、何をどの段階でどのように教えるかという中国語教育学の本質的課題が後景化している現状がある。われわれは、学習者が具体的場面で適切に運用できるよう項目を再編した体系を「中国語教育文法」と呼び、その構築を進めてきたが、各分野から大きな関心を得るには至っていない。その背景には、中国語学と中国語教育学の乖離だけでなく、両者を結ぶ中間領域を十分に位置づけてこなかったことがあるのではないか。本発表では、この「ハザマ」にある課題を整理し、中国語教育文法が目指すべき原理と方法を提示したい。
建石 始(神戸女学院大学)
中国語学習者から見た中国語初級文法 ―中国語教育と日本語教育が「ナカマ」に―
本発表は、日本語学・日本語教育学が専門であり、中国語学習者でもある発表者が中国語初級文法について考えるものである。2000年代に入るまでの日本語教育においては、日本語をどう教えるかについては盛んに議論されていたが、何を教えるのかについてはあまり議論されてこなかった。また、当時の日本語教育の文法教育観やシラバスの設計理念は、日本語学の視点に大きく依存していた。そのような状況のもと、初級文法シラバスをどう作成するのかということを中心に日本語教育文法が提唱され、数多くの成果が提示されている。日本語教育文法が提唱され始めて20年以上が経過したが、その成果を検討しながら中国語初級文法について考えてみたい。
※事前登録は不要です。参加用のZoom情報は「日本中国語学会オンライン会員情報管理システム(clara)」を通して開催1週間前ごろにメールで配信します。
連絡先:
日本中国語学会関東支部 西香織(明治学院大学)
Email: e-mail: nishik◆gen.meijigakuin.ac.jp(◆を@に代えてください)
第6回: 2026年1月24日(土)13時~
会場: オンライン開催(Zoomを使用)
鈴木俊哉(広島大学)
祁寯藻本『説文解字繫傳』の早印本といわゆる欠本系統写本の小篆
現在、『説文解字繫傳』(いわゆる「小徐本」)の定本として、最後の清刻本である祁寯藻本が用いられる。祁寯藻本は脱落こそ少ないが(足本と呼ばれる)、通行本に大徐本へ近づける修正が見え、王筠のように底本の真贋を疑う立場もあった。この修正前の小篆について、足本系統写本の述古堂本や、伝抄経路が異なる『説文篆韻譜』と符合することを董婧宸が報告している。それらの箇所を脱落の多い欠本系統の写本である朱筠本・翁方綱本・丁杰本と比較すると、少なくとも朱筠本・丁杰本とはよく符合する。『繫傳』写本の小篆字形は説文関連の写本の中では拙劣な印象を与えるが、これが足本・欠本の分岐以前の姿を残していた可能性が考えられる。
周碩(広島大学・院)
日本語「新出人称表現」の意味変化と中国語への受容ー「族」と「系」を中心にー
インターネット時代以降、中国語に流入した日本語借用語の中には、サブカルチャーと結びついた新出人称表現が顕著に見られるようになった。注目すべき初期例として挙げられるのが「族」と「系」である。日本語における「族」は1950〜80年代に若者文化を象徴する語として広まり、社会的他称として機能した。一方、「系」は1980年代以降、嗜好を緩やかに分類する表現や流行的カテゴリーを指示する。これらの語は1990年代以降中国語に借用され、「族」は行動様式を共有する集団名として中性化し、「系」は主観的評価を表す語として生産性を示すようになった。結果として、両者はいずれも「指人類詞綴」として現代中国語の語形成体系に定着したといえる。
※事前登録は不要です。参加用のZoom情報は「日本中国語学会オンライン会員情報管理システム(clara)」を通して開催1週間前ごろにメールで配信します。
連絡先:
日本中国語学会中国支部 荒見泰史(広島大学)
Email: e-mail: arami◆hiroshima-u.ac.jp(◆を@に代えてください)
第5回: 2025年12月20日(土)13時~
会場: オンライン開催(Zoomを使用)
陳頌頌(熊本大学・院)
“虽然小句”の談話機能について
中国語会話において、“虽然小句”は文脈による推論や共有情報を通じて“复句”(複文)の枠組みから離れ、独立した文として成立し、意味上の完全性を有しているという研究は進展を見せている。しかし、ターン交替における機能や、聞き手のフィードバックによる調整作用などといった動的な相互行為の観点からの検討は十分になされていない。そこで本発表では、日常会話、ネット言語など多領域のコーパスから採集した“虽然小句”をデータとし、聞き手の反応も含めて観察した上で、“虽然小句”が話し手のスタンスの主張、意思疎通の促進といった多様な語用論的意図を反映していることを分析する。
王一萍(福岡大学)
清末民初の上海方言における〈洗う〉に関わる単音節動詞の意味分析―『滬語便商』の用例を中心に―
現代上海方言において、「洗う」に相当する動詞は主に“汏[da13]”であり、衣類・食器・身体など多くの対象に幅広く用いられている。それに対し、清末民初の上海方言では、「洗う」に関わる単音節動詞として、“净”“盪(荡)”“捕”“过”“浴”“湔”“揩”“洗”などが確認されるが、これらの動詞が指し示す動作には細かな差異が存在する。本発表では、御幡雅文による上海語教科書『滬語便商』を中心に、その前後時期の文献資料も参照しつつ、「洗う」に関わる単音節動詞を取り上げ、符淮青(2006)の「意味構造モデル」に基づく分析方法を用いて考察を行うことで、これらの動詞に見られる意味的差異を解明する。
川澄哲也(九州大学)
『元朝秘史』漢訳部分における第1人称「複数」代名詞をめぐって
2003年、『元朝秘史』(及び旧本『老乞大』)における第1人称複数代名詞“俺”と“咱(毎)”の用法に関し、栗林均氏と故佐藤晴彦氏は各々の観点から異なる見解を発表した。栗林氏は『元朝秘史』モンゴル語本文と漢語傍訳の対応に基づき、両者には排除/包括式の区別があったと主張したのに対し、佐藤氏はより体系的な視点に立ち、両者の使い分けは必ずしも厳密ではなかったと主張した。そしてそれぞれの論考で、自らの考えを検証するために今後取り組むべき作業を提示した。しかしその後今日まで、当該作業が実施されたことを聞かない。本発表ではこの2つの作業に取り組むことを出発点とし、両氏の見解の妥当性について検証する。
※事前登録は不要です。参加用のZoom情報は「日本中国語学会オンライン会員情報管理システム(clara)」を通して開催1週間前ごろにメールで配信します。
連絡先:
日本中国語学会九州支部 木村裕章(東亜大学)
Email: e-mail: kimura◆toua-u.ac.jp(◆を@に代えてください)
第4回: 2025年12月13日(土)13時~
会場: 対面方式とオンライン方式の併用
対面方式会場:関西大学千里山キャンパス以文館4階セミナースペース

○シンポジウム:漢語諸語における文末標識の様相

ラマール・クリスティーン(フランス国立東洋言語文化学院・名誉教授)
従属節に後置する西北方言の“咾着”をめぐって
本発表では、陝西省関中方言(中原官話)の“咾着”が従属節に後置して接続機能をもつ文を考察する(例:“等房子盖好咾着,咱就往一搭里搬” 家が完成したら、新居に引っ越して一緒に住もう)。更に次の会話の乙の返事のように、同じ形式が複文の主節の省略によって文末助詞のように用いられるという現象も取り上げる;“甲:给我帮{一个}忙!”(ちょっと手伝ってくれない?)乙:“一时儿咾着”(少したったらね)。考察の際には、“着”の助詞用法に加え、“咾”の完了用法と非現実ムードを表す機能の関連も検討する。
鈴木博之(京都大学)
西南官話における非直接情報を表す文末標識“说”
西南官話で文末に現れる“说”は本義の「言う」から派生し文法化した、証拠性に関わる文末標識である。その中核的な意味が「伝聞」の事例は複数地点で確認される。一方、チベット系諸言語を母語とする西南官話話者は“说”を「感知」「推測」の意味で使う場合がある。特に内的感覚(endopathic)動詞は、漢語全体では人称によらず使われるが、西南官話では非自己を主題(経験者;undergoer)とする場合“说”を用いる事がある。これは当該話者の母語・チベット系言語の文法体系を反映するが、チベット系の標識は「言う」でなく「聞く」に由来することから、“说”の使用は文法カテゴリーだけをコピーした翻訳借用と考える。
李佳樑(東京大学)
上海語の文末形式“得来”と“头势”の再検討
上海語の“得来təʔ5lɛ13”と“头势dɤ22sɿ44”は、形容詞や動詞の直後に生起し、感嘆文の述語を形成する。本発表では、先行研究の知見を再検証し、これらの文末形式の形態論的・品詞論的な位置付けを整理する。また、程度副詞による修飾や様態補語・程度補語との対照を通じて、文末形式独自の機能を明らかにする。その上で、話題として投げかけた特定の属性の程度の甚だしさを聞き手が補完する余地を形式的に確保する点に、“得来”と“头势”の意味機能の核心があることを示す。
飯田真紀(東京都立大学)
広東語の文末助詞me1の音調と意味機能
広東語において疑問文末助詞とされるme1は、平叙文の末尾に付加され、命題成立への驚きや疑いといった伝達的意味を表す。広東語では文末助詞も固有の声調があり、me1は第1声(高平調[55])を持つと表記されるが、文末助詞における声調というのは多分にイントネーションが顕現したものであると見られる。me1については、高平調[55]だけでなく下降調[53]の変異形を持つことが指摘されており、両者は異なる文法的振る舞いを見せる。本発表ではme1における55調と53調の意味機能の違いを検討し、併せて日本語の終助詞のイントネーションとの類似性を探る。
今回はシンポジウム形式で行います。皆さまどうぞ奮ってご参加ください。
会場所在地:
〒564-8680 大阪府吹田市山手町3丁目3番35号
アクセスマップ:
https://www.kansai-u.ac.jp/ja/about/campus/#senriyama
連絡先:
日本中国語学会関西・四国支部 田中智子(関西国際大学)・小嶋美由紀(関西大学)
Email: e-mail: to-tanaka◆kuins.ac.jp(◆を@に代えてください。田中智子宛)
第3回: 10月4日(土) 13時~16時10分
会場: オンライン開催(Zoomを使用)
張志豪(名古屋大学・院)
“把书买了”の成立条件について
“把OV了”構文には、消失義動詞(“卖”など)は使用できるが、獲得義動詞(“买”など)は使用できないとされてきた。実際には、“把书买了”のように獲得義動詞を用いる用例も多く観察される。本報告では、獲得義動詞を視野に、“界变”の観点から、“把OV了”構文の成立条件を明確にした。まず、“把OV了”における“V了”は“结果性界变”を表す必要があるという指摘を掘り下げ、“V了”が“结果性界变”を表すには<状態A>(“没V”)が必要であることを明確にした。その上で、消失義動詞は<状態A>を内包しているため、文脈において示さなくてもよい一方、獲得義動詞には<状態A>がなく、文脈において示す必要があることも明確にした。
鄭欣悦(宝鶏文理学院)
定語の成立条件と特徴:動詞の重ね型が定語になる場合を中心に
定語とは名詞を修飾する連体修飾語であり、さまざまな品詞やフレーズによって担われうる。その中でも、動詞の重ね型が定語として使用される場合には、成立する用例と(〇试一试的心态。〇点点头的事。〇说说笑笑的年轻人。)、成立しない用例(*看看的书。*研究研究的问题。*敲了敲的门。*想一想的事。)の両方が見て取られる。本発表では、六種類の動詞の重ね型(AA型、A一A型、A了A型、AAB型、ABAB型、AABB型)を対象として取り上げ、それぞれの型が定語になる成立条件やその特徴について考察し、そこから定語の本質に迫ることを目的とする。
楊琴(奈良女子大学・博士研究員)
古代中国における漢語「人倫」の意味について:「倫」字を中心に
「人倫」は中国では古い時代から用いられ、一般的に『孟子』に書かれる、儒教における五つの徳目「五倫」の意と理解される。しかし日本ではそれと異なる意味で用いられ、中世には一般的に「人」を表すようになる。本発表では「人倫」の意味領域が日中両言語で異なっていく過程・原因を究明するための基礎作業として、まず『説文解字』にみえる「倫」字の訓詁を参考にし、古代中国における「倫」の本来の用法が如何なるものかを調査する。また、「十三経」所収文献などにおける「倫」の使用分布を概観し、その用法や注釈家の訓詁を整理検討した結果を通じて、古代中国の「倫」の多義的な意味拡張の実態についての考察を試みる。
楊一鳴(愛知大学・国際中国学研究センター研究員)
近代宣教師が編纂した漢字教材:「音符字典」を中心に
明清時代において、入華宣教師たちは布教活動や日常生活のため、中国語の習得を課題とし、漢字学習は最初の関門であった。宣教師によって編纂された字典は、最も広く利用された漢字教材であり、その配列方式は部首や音節を基準とするのが一般であった。19世紀に入ると、J.マーシュマンやJ. M.カレリーをはじめとする宣教師たちは、漢字の音符に着目し、漢字の起源や構成を分析しようと試みた。さらに、音符に基づいて配列した辞書や漢字教材も数多く残された。本発表では、J.マシュマンやJ. M.ギャラリーの漢字観を探る上で、近代宣教師が編纂した「音符字典」の成立と特徴を考察する。
事前登録は不要です。参加用のZoom情報は「日本中国語学会オンライン会員情報管理システム(clara)」を通して開催1週間前ごろにメールで配信します。
連絡先:
日本中国語学会東海支部 稲垣智恵(中京大学)
Email: e-mail: t-inagaki◆lets.chukyo-u.ac.jp(◆を@に代えてください)
第2回: 2025年8月9日(土) 13時~16時
会場: オンライン開催(Zoomを使用)
馮一峰(京都外国語大学)
中国語における転送出力形成の統辞的制約―φ素性均衡の構築を目的とした統辞操作の不適用に関する検証―
Narita and Fukui (2022)は、対称性原理に基づき、転送出力の形成方法として二つのアプローチを提案している。第一は、素性均衡を構築する方法であり、第二は、統辞体SOの構成素αおよびβがいかなる形式素性も持たないという方法である。Narita and Fukui (2022)は、英語では第一の方法が多く用いられている一方で、日本語のレキシコンにはφ素性が存在しないため、φ素性均衡の構築を目的とした統辞操作は適用されないと主張している。本研究では、日本語と同様に顕在的なφ素性を持たないとされる中国語においても、φ素性均衡を構築するための統辞操作が適用されないとの推測を検証する。
大町綺霞(神戸市外国語大学/北京語言大学・院)
“没有”的语用否定用法及其演化路径
“没有”是现代汉语中最为重要的否定词之一。然而,在日常口语交际中,“没有”也有否定义弱化甚至完全失去否定义的用法。本文基于语料调查结果,从语用否定的角度出发,对否定义虚化的“没有”的用法加以梳理、归纳,并对其演化路径做出分析。认为“没有”否定义的弱化乃至消失是循着由客观事实的对立到主观认知的对立,再到篇章内容的对立,直到最后失去明确的对立的路径逐次完成的。其在不同的语篇位置上呈现不同的话语功能。最后,还将对比分析“没有”与“不是”的此类特殊用法,明确二者的语用特征差异。
河原畑希久(立命館アジア太平洋大学・嘱託講師)
対象介詞“给”と“为”にみる受益構文の統語的制約と語用的機能―発話態度における関与と行為主調整の視点から―
本発表では、中国語の対象介詞“给”と“为”に見られる受益構文の語順および主題役割に着目し、劉丹青(2013)の統語類型論を基に両者の語用的機能を分析する。“给”は主に受領者を導き、その語順や文脈によって話者の関与度や与益の焦点が変化する。一方、“为”は目的や配慮対象を導き、動機の提示や行為主の明示性調整を通じて配慮的態度を示す。本研究は両介詞の統語的特徴と語用的機能を比較し、発話態度における関与の程度および行為主の表出様式を明らかにすることを試みる。
永江貴子(拓殖大学)
受益者を導く介詞としての“帮”に関する一考察
現代中国語において“帮”は「助ける」を意味する動詞として扱われてきたが、近年では受益者を導く介詞としての用法も指摘されている(余义兵2023ほか)。言語学においては、既存の形式や用法が新たな形式の出現を妨げる現象を“Lexical Blocking”と呼ぶが、“给”“为”“替”といった既存の受益者マーカーがあるにもかかわらず、なぜ“帮”がそうした機能を担うようになりつつあるのか。本発表では、“帮”の虚化に注目し、実際の用例分析と地域差・世代差をふまえた調査結果を通して、その機能的拡張の実態を概観し、考察する。
黄海萍(慶応義塾大学)
チワン語における比較表現と中国語「比」構文の対照研究
本発表では、中国最大の少数民族であるチワン族が話すチワン語(主に龍茗方言)における比較表現を取り上げる。チワン語には、比較標識を用いない暗示的な比較表現と、比較標識kwaː³およびpiː⁵を用いた明示的な比較表現の2種類が存在する。本研究では、特に比較標識を用いる比較表現に注目し、中国語における「比」を用いた比較表現との対照を通して、両者の構文的・語用的特徴の異同を明らかにすることを試みる。
周云(北九州市立大学・非)
“上下”による時間認知の考察
本発表では、先行研究を踏まえ、認知言語学的理論を用いて、中国語における“上下”による時間概念・時間表現の特徴に基づき、“上”→“下”という時間方向性の認知的根拠(依拠するメタファー)、“上下”による時間認知の有界性が生じる認知的理由、及び“上下”時間認知が方向性よりも時間幅を表現する傾向における認知的メカニズムについて、新たに解釈するとともに、“前后”時間軸との相違点を考察する。本稿では、時間の方向性と有界性がそれぞれ異なるメタファーに依拠するという立場から、“上下”時間軸を2段階で分析する。
羅攀(神戸市外国語大学・院)
概念分形视阈下转喻与隐喻的认知图式及其理论应用初探
分形是数学领域研究不规则几何图形的重要理论之一。释义循环与百科网络分别反映了概念具有迭代性与自相似性等分形几何所持有的两大核心特征,因此概念也一种分形,其分形元(或生成元)为概念的表象。概念分形视域下,转喻认知图式所呈现的喻体替换本体的可能性与生成性分别基于概念与表象之间的迭代性与自相似性;隐喻认知图式所呈现的喻体映射本体的实现过程则基于本体、喻体二者与共同表象之间的迭代性与自相似性。转喻与隐喻认知图式的理论应用主要涉及三个方面:印证转喻与隐喻在语义真值层面的还原性特征;支持“隐喻=N转喻”的假设;描写汉语“概念类型转化”的认知过程。
事前登録は不要です。参加用のZoom情報は「日本中国語学会オンライン会員情報管理システム(clara)」を通して開催1週間前ごろにメールで配信します。当日はZoomの「ブレイクアウトルーム」機能を利用します。
連絡先:
日本中国語学会北陸支部
Email: e-mail:nkano◆staff.kanazawa-u.ac.jp(◆を@に代えてください)
第1回: 2025年6月7日(土) 13時~15時
会場: オンライン開催(Zoomを使用)
中田聡美(大阪大学)
〈祈使〉としての“不敢VP”―“不X”と禁止・制止をめぐって―
現代中国語において、“不敢”は「~する勇気がない」の意味(dynamic modality:動的モダリティ)を表す一方で、禁止・制止の意味(deontic modality:拘束的モダリティ)を表すことがあると知られている(林刘巍・张寒冰2016など)。本研究では禁止・制止の〈祈使〉としての“不敢VP”を研究対象とし、その意味的、形式的特徴を再考察する。また“不敢”をはじめとする“不X”形式と禁止・制止の関係性について、モダリティの意味領域間の繋がりに着目し、分析を行うことを試みる。
野田寛達(明治大学)
疑問詞の疑問機能の連続性についての一考察
本発表では、疑問詞“哪”、“谁”、“什么”の疑問機能に関して、木村2012[2008]と木村2015の「対象(個体)指定要求」と「属性記述要求」という枠組みを、機能の連続性の視点から捉え直すことを試みる。これらの疑問詞を連続性の中に位置付けることで、外的―内的、客観―主観、具体―抽象という特徴の連鎖が読み取れるようになると考えている。また、その他の疑問詞を同様の連続性に位置付けることも試みたい。
事前登録は不要です。参加用のZoom情報は「日本中国語学会オンライン会員情報管理システム(clara)」を通して開催1週間前ごろにメールで配信します。
連絡先:
事務局
Email: jimukyok_clsj◆chilin.jp(◆を@に代えてください)

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