2009年度
3月20日(土),午後1時〜4時
石川四高記念文化交流館 (多目的利用室3)
http://www.pref.ishikawa.jp/shiko-kinbun/
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開会の辞(13:00-13:05)
ゲスト講演
宇佐美洋(国立国語研究所)
「だって,しょうがないぞ,もう」−ロールプレイコーパスから見る日本人・中国人の謝罪方略の違い−(13:05-14:05)
要旨:「友人同士による謝罪場面」を設定し,日本語母語話者(JP)・中国語母語話者(CN)に,母語によるロールプレイを依頼し,その発話データをコーパス化した。このコーパスを用いて,謝罪者が用いている語用論的方策の違いについて検討したところ,CNはJPに比べ,謝罪時に「しょうがない」「わざとじゃない」など,自己の責任を回避するような発話が明らかに多かった。そしてその違いは,謝罪において「責任の所在を明らかにする」という行為を,JPは謝罪する側が行い,CNは謝罪を受ける側が行う,という「謝罪における役割分担の違い」に起因することが分かった。こうした研究例も取り上げつつ,学習者コーパスが教育にどのように寄与しうるかについて述べる。
研究発表
大滝幸子(金沢大学)
パラレルコーパスを用いた日中対照研究と教育の事例分析(14:20-14:50)
要旨:パラレルコーパス(多言語・文脈平行表示コーパス)には、正文の原作と翻訳を並べた「対訳コーパス」と、片方が正文もう片方が誤文の「学習者コーパス」という2種類がある。各々、その異なる用途のために作成され、その用途に基づいて検索機能の設計、統計数値の出し方が決定づけられている。本発表では、対訳パラレルコーパスを授業や論文作成に用いた事例報告と、その研究用ツールとしての可能性を述べる。また、学習者コーパスの設計上の難点と、その教育研究用ツールや研究用ツールとしての可能性を考察する。
陳会林(金沢大学・院)
「如果」の使用動機に関する一考察-日本語の条件表現形式と比較して(14:50-15:20)
要旨:本申請は,中国語条件表現の代表的な形式とされる関連詞「如果」を取り上げ,下記3点の問題意識をもって考察した結果を発表したい。①日本語条件表現と比較しながら「如果」の使用範囲を確認した。②「如果」の使用にあたって,接続関係を強制的に決定づける場合とそうでない場合がある。それぞれの場合は「如果」にかかる音声的情報が異なった振る舞いを呈するか否かを考察した。なお上記2点はパラレルコーラスを用いたインフォーマント調査の結果に基づいて考察を進める。③上記2点の結果を踏まえて,語用論的観点から「如果」の使用動機を試論した。
林智(金沢大学・院)
現代中国語における形容詞の多変量解析とコーパスシステム開発(15:20-15:50)
要旨:発表者は、品詞タグが付加された現代中国語コーパスに対する多変量解析の結果、形容詞の重畳形が原形となる形容詞とは異なる要因でクラスタ分類される事を明らかにした。この分析結果は、原形の分布に影響する要素と重畳形の分布に影響する要素が数量的観点からいって全く違うものである事をあらわしている。またこのような分析を可能にするコーパスシステムだが、本年度はさらに最新の技術を用いて特に管理面での利便性を高めるための開発を継続して行っている。
2008年度
2月13日(金),午後1時半〜
金沢大学中央図書館2階AV教室
イズミ オキナガ
日漢英共通64音図(試案)について
要旨:現代日本語は,ヤマトコトバと漢語と英語などカタカナ語とのチャンポン語である。もともと音韻感覚が違うもの同士なので,混乱をおこしやすい。「五十音図」はヤマトコトバを習得するのに役立つが,漢語やカタカナ語などには通用しない。現代日本語のために,漢語やカタカナ語にも通用する共通音図を作る必要がある。そう考えて,「現代日本語音図」(イズミ試案)を発表した。それは,実質的に「日漢英共通64音図」でもある。効果的な言語習得法として,あるいは日漢英の音韻比較資料を作る手段として,その他いろいろな利用法が期待できる。
山田眞一(富山大学)
教室談話に見られる「つなぎのことば」—「語文」の授業を例に—
要旨:北京の某小学校5年生のクラスにおける「語文」の授業の録音資料を基に,教室談話における「つなぎのことば」について分析・考察を行う。ここでいう「つなぎのことば」とは教師が教室活動において,談話の接続,切り替えを行う際に発することばを指す。本発表では,いくつかの「つなぎのことば」を取り上げ,それらの機能について論じる。
陳会林(金沢大学・院)
関連詞を用いない中国語複句に関する一考察—『骆驼祥子』の原作と邦訳を比較しながら—
要旨:中国語の複句関係を明示する標識—関連詞—の使用は義務付けられたものではない。且つ,中国語母語話者の実生活の中で意味が通じなかったり誤解されたりすることは生じない。このことから,関連詞のほかに,分句間の接続関係を暗示する他の要素が文中或いは文脈に存在するはずだという予想が立てられる。これらの要素を理論的に探り出すという研究がこれまで何人かの研究者によって行われてきた。筆者は二回のインフォーマント調査を通して,先行研究の成否を検証し,その不足を補った。その上で,「已然-未然」,「順接-逆接」を決定づける諸要因を再整理する試みを行った。今回の発表では,その研究経緯と現時点での考察結果を発表する。
陸芸娜(金沢大学・院)
出現物主語の「是……的」構文の焦点
要旨:事象(複数の現象素によって構成される)が生起する時点で存在しなかった物が出現した場合,その物を「出現物」と名づけることにする。中国語の出現物を主語に立て,「是……的」構文で事象を述べる場合,何を叙述の焦点とするかを解明することが本稿の目的である。出現物の現象素の取り上げ方が「是……的」構文の焦点位置判断にどれほど影響を与えるかを解明するために,本稿は主に非必須格を介さない「是……的」構文を扱うことにする。出現に関わる事象構造を図式化し,「是……的」構文の焦点がどこに置かれるかを解明する。